パソコンで文書を作成しているとき、「この漢字、なんだか違和感があるな」と感じたことはありませんか?よく似ているけれど微妙に形が異なる漢字――それが「異体字(いたいじ)」と呼ばれるものです。こうした文字は、フォントや入力方法によって表示される形が変わることもあり、戸惑う方も少なくありません。
今回は、「琢(たく)」という文字に似ているもう一つの文字、「琢」について取り上げます。この2つは同じ読み方・意味を持ちながら、書体が少し異なっています。この記事ではその違いや、実際に「琢」をパソコンで入力・表示する方法を詳しく解説していきます。
どっちが本物?「琢」と「琢」の違いを整理しよう
まず、「琢」と「琢」はまったくの別漢字ではなく、形の違うバリエーション(異体字)です。

意味や読みは共通しており、日常的には「琢」が使われています。
文字 | 種類 | 特徴と使われ方 |
---|---|---|
琢 | 標準字体 | 教科書や新聞などで使われる正式な書体 |
琢 | 異体字 | 「つちへん」に点が付いた古い字形。人名や古文書で使用されることもある |
「琢」は旧字体ではなく、形式的には「異体字」に分類されます。

つまり、文字としての意味や読みは同じですが、書き方・表示方法が異なるだけなのです。
「琢」をパソコンで使うための4つの入力法
通常の変換では「琢」しか出てこないことが多いため、「琢」を使いたい場合はちょっとした工夫が必要になります。

以下の4つの方法を使い分けてみましょう。
方法 | 入力の仕組み | 特徴・メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
フォント変更 | 特定フォントで自動的に異体字表示 | 操作が簡単 | 他のPCでは文字化けの可能性 |
単語登録 | IMEに読みと文字を登録 | 一度設定すれば使い勝手が良い | 登録作業が必要 |
Unicode入力 | コードを入力しAlt+Xで変換 | 一時的な使用に便利 | コードを覚えておく必要あり |
IMEの詳細設定 | 変換候補の制限を解除する | 他の異体字にも対応可能 | 操作がやや複雑 |
① 特定フォントで「琢」を表示させる
Microsoft WordやExcelなど、Office製品では使用するフォントによって「琢」が自動的に異体字に切り替わることがあります。特に以下のフォントで「琢」が表示されるケースが確認されています。
フォント名 | 表示される「たく」 |
---|---|
Microsoft YaHei | 琢 |
Microsoft JhengHei | 琢 |
Microsoft JhengHei UI | 琢 |
Malgun Gothic | 琢 |
メイリオ・MS ゴシックなど | 琢 |
📌 注意点
特定のフォントに依存しているため、相手の環境では意図した文字が表示されないことがあります。文書をPDFに変換して共有することで表示の崩れを防げます。
② IMEに「琢」を登録する方法
「たく」と入力しても「琢」が出てこない場合は、IME(日本語入力システム)に単語として登録しておくのが便利です。
単語登録のステップ
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ウィクショナリーや辞書サイトなどから「琢」をコピーする
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Wordなどに貼り付けて正しく表示されるか確認
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タスクバーの「あ」または「A」を右クリックし「単語の登録」を選択
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単語欄に「琢」、読み欄に「たく」と入力して登録

これで、以後「たく」と入力するたびに「琢」が変換候補に表示されるようになります。
③ Unicodeで直接入力する方法
Unicodeコードを使えば、「琢」や「琢」を直接入力できます。特にWordではこの機能が便利です。
文字 | Unicode | 入力方法の例 |
---|---|---|
琢 | 7422 | 7422 → Alt + X |
琢 | FA4A | FA4A → Alt + X |

コードを入力後、Altキー+Xキーを同時に押すと対応する文字に変換されます。
④ IMEの詳細設定で変換候補を増やす
Windowsでは、IMEの設定で変換候補に旧字体や異体字が表示されにくくなっている場合があります。設定を変更すれば、特殊文字も変換候補に出やすくなります。
IMEの設定手順(Windows)
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タスクバーの入力アイコン(あ/A)を右クリック
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「設定」→「詳細設定」→「変換」タブを開く
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「変換文字制限をしない」にチェック
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「OK」を押して完了

この設定をしておくことで、「琢」以外の異体字・旧字体の入力効率も向上します。
フォント別表示の違いを一目でチェック
フォントごとの「琢」の見え方を以下の表にまとめました。文書作成時のフォント選びの参考にしてください。
使用フォント | 表示される文字 |
---|---|
メイリオ、MS ゴシック | 琢 |
Microsoft YaHei | 琢 |
Microsoft JhengHei 系列 | 琢 |
Malgun Gothic | 琢 |
結論:状況に応じて「琢」と「琢」を使い分けよう
「琢」と「琢」は、形こそ異なりますが意味も読みも同じ文字です。ただし、人名や美術作品、古い文書の修復など、文字の形にこだわるべき場面では「どちらを使うか」が重要になることもあります。
方法 | 向いているケース |
---|---|
フォント変更 | 見た目だけ変えたいとき。資料作成向け |
単語登録 | よく使う場合。変換がスムーズに |
Unicode入力 | コードが分かるなら手軽に挿入できる |
IME設定変更 | 異体字を幅広く扱いたいユーザーにおすすめ |
ちょっとした知識で、文書表現の自由度はグンと広がります。漢字の奥深い世界を楽しみながら、適切に使い分けていきましょう。